当研究室の卒業生・猪又さん(修士課程、2025年3月卒業)の筆頭論文が、日本地形学連合の学術誌「地形」(SiteScore 2025: 0.2)に掲載されました。
猪又雅史・早川裕弌 (2026.06) 都市近郊山地における登山道地形の特徴と利用による影響-スマートフォン搭載LiDARを用いた計測と解析-. 地形, 47 (1), 41–57.

近年、健康志向の高まりやコロナ禍の影響もあり、都市近郊での登山やトレイルランニングを楽しむ人が増えています。しかし利用者が増える一方で、道が本来のルートを外れて広がってしまう「拡幅」や、ぬかるみなどの「登山道の荒廃」が大きな課題となっています。本研究では、北海道で最も利用者が多いとされる札幌市の藻岩山を対象に、スマートフォン(iPhone)に搭載された「LiDAR(ライダー)」という最新のセンシング技術を活用した調査を行いました。この技術を使えば、従来のような大掛かりな装置を使わずに、歩きながら登山道の高精細な3次元地形データを取得することが可能です。
解析の結果、登山道が広がってしまう背景には、その場所特有の地形や環境条件が深く関わっていることが見えてきました。たとえば、日当たりの悪い北側斜面では雪解け後のぬかるみが長引きやすく、そこを避けて通る利用者の足跡が道を横に広げていました。また、歩きやすさを助けるはずの木製階段も、一段の高さが合わなかったり傷んだりしていると、かえって周囲に「脇道」を作ってしまう原因になっていることも判明しました。これらのデータは、ただ道を直すだけでなく、多様なユーザーが心地よく歩き続けられるような「持続可能な登山道管理」を実現するための重要なヒントになります。


