北海道大学環境科学院のオープンキャンパス(令和8年度)が2026年8月2日(日)に開かれました。

https://www.ees.hokudai.ac.jp/?p=10750
このうち、1日2回のラボツアーの一端を、我々環境地理の研究室が担当しました。今年は、研究室で開発中のVRランドスライド体験と、高傾斜トレッドミルによるヴァーチャル登山体験という、2つの「その場にいるみたい」な体験と、3Dプリントによるミニチュア地形模型を中心に紹介しました。
VRで、崩れる地形の中を歩いてみる
一つ目は、実際に発生した地すべり地形をもとに再現した3次元のVR空間を、ゴーグルを装着してその場で自由に歩き回れる体験です。写真や動画だけでは伝わりにくい、斜面の傾き具合や崩落地形のスケール感を、VRで確かめながら実感してもらいました。
参加してくれた高校生の多くにとってVR自体が初体験だったようで、「自分の意思で好きな方向に歩き回れる」という点が特に好評でした。研究室ではこうした声も踏まえながら、モデルの改良を続けています。
あらゆる山の登山道を、その場で登る
もう一つの目玉は、傾斜を大きくつけられる特殊なトレッドミル(ランニングマシン)を使った、山道を登るバーチャル体験です。画面に映る登山道の映像に合わせて足元の傾斜が変化するため、実際に山道を歩いているかのような感覚を味わうことができます。傾斜15%(約10度)、傾斜40%(約20度)といった高傾斜の登山道が、映像と連動して再現されます。地形研究の現場で使われている技術を、遊びをとおして体感することができます。
ミニチュア地形模型
VRやトレッドミルの体験と並行して、無人航空機(ドローン)やLidar(レーザ測量)による観測データをもとにした立体カラー地形模型もいくつか展示しました。今回並べたのは、千葉・外房総の雀島(すずめじま)、VR体験でも登場した厚真のランドスライド地形、そして横浜・田谷の洞窟と里山。海に削られ消えゆく小さな島の地形、山がごっそり崩れた地すべりの跡、人の手が入った里山と洞窟の地形と、成り立ちも見た目もまったく違う3種類を、文字通り手に取って見比べられるのが模型ならではの魅力です。
当日の様子
ラボツアーは午前・午後の2回に分けて実施し、午前は12名、午後は9名、あわせて21名の参加者を迎えました。会場では、大学院生たちが自分の研究内容を交えながら説明にあたりました。
オープンキャンパスということもあり、大学生活や札幌での暮らしについて聞かれる場面も多くありました。トレッドミル体験で札幌の山を歩く映像を見た参加者からは、「札幌での生活のイメージが浮かんできた!」という声も。
このトレッドミル体験では、実際に山を登っているような感覚が楽しいという感想が多くありました。歩くコースは雪山を含む数種類から選べるようにしていたのですが、雪の降らない地域から来た参加者が多かったこともあり、雪山コースが圧倒的な人気でした。
VR体験では、初めてVRゴーグルをつける参加者の緊張した面持ちが、体験後には笑顔に変わる場面も多く、地形や自然災害への関心を持ってもらうきっかけになったのではないかと思います。
3Dプリント模型を使った地形変化の説明では、継続的に観測を続けることの大切さに自分で気づいてくれる参加者もいて、スタッフ一同「すごいな」と感心する場面もありました。
「研究室」と聞くと白衣を着て試験管やピペットを扱うイメージを持っていた参加者がほとんどでしたが、「フィールド系のラボっておもしろい!」と言ってくれた人もいて、案内していた院生にとっても嬉しい発見だったようです。参加者との対話を通じて、スタッフ自身も学ぶことの多い、充実した一日になりました。





(写真:当日スタッフ撮影)
来年以降も、最新の観測・可視化技術を使ったラボツアーを企画していく予定です。ぜひ次回のオープンキャンパスにも遊びに来てください。


